南極の記憶、写真と動画で鮮明に 記録読み返し「過去の自分」と再会

有料記事新聞記者の文章術

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南極・北極専門記者 中山由美

 原稿をほめられた記憶がない記者に、「文章術」の執筆依頼とは驚きました。「いい文章」なんて無理! でも「紀行文の秘訣(ひけつ)を」と言われて受けました。初めて南極で越冬する時に始めた日記「ホワイトメール」。その後も、極地へ行く度にネットや記事でつづってきました。「術」と言えるほどの技は持ち合わせていませんが、私なりに言葉をどう紡いできたかをご紹介します。

 初めての南極は2003年11月から05年3月。45次観測隊で越冬することになり、日記をネット「アサヒ・コム」に連載しました。白い世界からのメッセージで「ホワイトメール」。「ブログ」という言葉も知られていなかった当時、くだけた文章でたまに顔文字まで入り「これって記事?記者が書くもの?」とまゆをひそめる人もいました。でも「前例がないなら自由に」と決めて、460日間、書き続けました。

 何より新しいことに出会う毎日、その瞬間の気持ちを残したい思いにかられました。青くきらめく氷山、陽光で淡い茜(あかね)色に染まる雪原……圧倒的な自然を前にわき出る感情を大切にしたい。時間がたてば、興奮や感動は薄れてしまいます。鮮明なうちに残さなくてはもったいない!

文末に取り上げた文章へのリンクがあります

 でも外では落ち着いて書く余…

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