日大アメフト部復活には条件を 卒業率3割→9割にしたコーチの改革

後藤太輔
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 スポーツ推薦で大学に入学した部員が授業についていけず、卒業できない。選手を引退した後の失業率が高い。選手による発砲事件も起きた……。

 1980年代、米国でも大学のアスリートの行いが社会問題になっていた。

 その改善に乗り出したのが、プロフットボールNFLのチームでのヘッドコーチを経て、1980年代初頭に米ジョージア工科大の体育局長に就いたホーマー・ライスさんだった。

 日大アメリカンフットボール部の薬物事案など、日本で大学運動部の不祥事が続いている。米国の改革は、日大や日本の他の大学にも参考になる。

 ライスさんは、学業を最優先にし、練習や試合に参加するための学業基準を設けた。人生で必要な知識を身につける講義の受講や、社会奉仕活動の義務など、他にも様々なことがプログラムで課された。練習時間が制限されるため、反発も多かった。

 しかし数年後、低迷していた運動部が全米や所属リーグで優勝を争うようになる。33%だった運動部員の卒業率が、十数年後には87%まで改善された。今では全米の大学が、このようなプログラムを持っている。問題がゼロになるわけではないが、道を踏み外す学生を少なくする仕組みを作り改善してきた。

 日大も、同じような取り組みの導入を検討している。これらの実施や継続を、日大アメフト部の復活や存続の条件とし、その成果を定期的に他大学や社会と共有してほしい。

 日本全国の大学や高校も巻き込んで仕組み作りをしなければ、別の学校や部で同じことが繰り返されるだけで、学生のためにならない。罪を犯した者を切り捨てるだけではなく、学生の成長をサポートし、社会に送り出す仕組みが、今こそ必要だ。後藤太輔

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