罪犯した学生やめさせないで 日大アメフト問題、日本で深まらぬ議論

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後藤太輔
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 日本大学アメリカンフットボール部をめぐっては、廃部にするべきかどうかばかりに関心が集まったことが気になっている。

 運動部の学生が競技以外の面でも成長していけるための仕組みをどう整えるのか、が最も大切だと私は思う。しかし、その議論は深まらない。

 日本の運動部の改革案を、1980年代初頭の米ジョージア工科大の例を参考に提案したい。

 改革を行ったのは、米プロフットボールNFLのチームでのヘッドコーチを経て同大体育局長に就任したホーマー・ライスさんだった。2012年、85歳だったライスさんに話を聞いたとき、こう語っていた。

 「1980年代、米国の大学のスポーツ選手の非行が社会問題化していた。スポーツ推薦で入学した部員が授業についていけず、競技場のロッカー室で発砲事件が起き、大学周辺の治安は悪化した。プロに進んでも、引退後の失業率の高さが目立った。社会全体の治安も悪化し、過剰な個人主義で家庭や地域社会が崩壊しつつあった」

 「スポーツで重要なのは勝ち負けだけではない。大学の運動部員は人生に必要な全ての教育を受ける必要がある。スポーツの成功は、人としての成功の上にある。その思いから、トータル・パーソン・プログラム(人格形成プログラム)を作った」

 運動部員は練習のために大学に通っていたと言ってもいい時代だったので、練習だけに集中できないプログラムには反発も多かったという。しかし、数年後、低迷していたアメフトで常に全米トップ5を争うようになり、所属する米南東部のリーグで、バスケットボールは優勝し、野球も優勝を争うようになった。

 知徳体をバランス良く身につけることが可能だと証明できると、全米の大学から注目を浴びた。ライスさんは、いろいろな大学に助言に出向いたという。

 プログラムの中身はこうだ…

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