米労組、ストで勝ち取った賃上げ25% 「底辺への競争」反転に学ぶ

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経済部次長・江渕崇
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アナザーノート 江渕崇・経済部次長

 自動車工場で働く人の時給が約6千円、年収では1200万円超に――。これほど劇的な成果を、一つのストライキが勝ち得たことが近年あっただろうか。

 全米自動車労働組合(UAW)が今秋、「ビッグスリー」と呼ばれる米自動車大手3社に対してストを起こした。約6週間に及ぶ攻防の末、今後4年半で25%もの賃上げを会社側に認めさせた。

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 これで工場の働き手たちの時給は40ドル(約5800円)を超える。最大手ゼネラル・モーターズ(GM)でフルタイムで働いた場合、年収は基本給が8万4千ドル(約1210万円)へと跳ね上がり、各種手当も上乗せされる。基本給が倍以上に増える組合員もいる。

 UAWのストとは直接関係ないトヨタ自動車日産自動車などの日系大手まで、負けじと10%前後の賃上げを決めた。労働経済学の教科書にも載りそうな、ストの力を見せつける出来事だった。

どん底を経験した米労組

 米労組は苦難の連続だった。

 人件費や税金の安さと規制の…

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