がっくり、言い訳、反省 5人が当てた阪神優勝 プロ野球順位予想

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 59年ぶりに関西勢対決となったプロ野球の日本シリーズは、阪神タイガースが38年ぶりに日本一に輝いて幕を閉じた。阪神、オリックス・バファローズともに、他チームとの力の差を見せつけてリーグを制し、クライマックスシリーズ(CS)も突破した。

 シーズン開幕前、朝日新聞の球団担当記者は取材に基づき、順位を予想した。その答え合わせをしたい。

阪神のリーグ優勝、5人が的中

 セ担当記者6人のうち、阪神のリーグ優勝を予想したのは5人。その戦力の充実に、多くが注目していたことが分かる。

 ただひとり外したのが、その阪神担当の大坂尚子記者。1位予想は横浜DeNAベイスターズだった。その言い訳を聞いてみる。

 「優勝争いはすると見ていたが、岡田監督の野球が、若いチームにどこまで浸透するのか分からず、厳しめに2位予想にした。野手の個々の力だとDeNAの打線は強力で、バウアーが加入すること、阪神がハマスタを苦手にしていたこともあり、阪神より上にいくのでは……と」

 想定外の展開に、シーズン後半はうれしい悲鳴を上げながらの取材となった。

 昨季優勝の東京ヤクルトスワローズを4位以下に予想した記者は皆無。「村神様」らの活躍で覇者となった翌年、5位を予想するのは難しかった。阪神の優勝を当てながら、担当球団を2位予想した山口史朗記者は「序盤から塩見、山田ら主力に故障者が相次いだことが……」と悔しそうだ。

 最終盤でDeNAと競り合い、2位になった広島東洋カープ。3位を予想した担当の辻健治記者は「就任1年目の新井監督が、チームを躍進させて優勝争いに食い込んだ」と誇らしげだ。

 広島の後塵(こうじん)を拝したDeNAだが、2年連続でAクラス(3位以上)入り。担当するDeNAを2位予想しつつ、広島を最下位とにらんだ加藤秀彬記者は「(新井)新監督の熱意が強すぎて、空回りするんじゃないかと思っていた。逆にチームが結束した。見立てが甘かった」と反省する。

 読売ジャイアンツ(巨人)は勝率5割を前後し、浮上できず4位に終わった。巨人担当の堀川貴弘記者は「DeNAより下の4位だと思っていたが、担当記者が開幕前から景気の悪いことを言っても礼を欠くと思い、下駄を履かせて3位と予想した。的中と言っていい」と胸を張る。

 2年連続最下位だった中日ドラゴンズの担当・山田佳毅記者が当てたのは阪神優勝だけ。2位ヤクルト、3位中日と読みの甘さを露呈した。「(中日は)ベテランと若手の華麗な融合を夢見ていた。打てない試合を見るのはつらかった。でも、来年こそ……」とあまり懲りていない様子。

パ・リーグ担当記者の1位予想が集中したのはソフトバンク

 さて、パ・リーグ。

 オリックスが3シーズン連続でリーグを制したが、パ球団担当6人のうち、5人が福岡ソフトバンクホークスを1位と想定した。

 高橋健人記者は、担当するオリックスを2位と予想した。「1位だったらうれしい誤算。そう思っていたら、ぶっちぎりの1位だった。反省です。来季は山本も山崎福もいなくなるが、3連覇した中嶋監督の手腕があれば大丈夫でしょう。もう、来季の順位は1位と決めました」

 担当チームの力を実感した様子だが、予想はキャンプやオープン戦を見てからにした方がいいのでは。

 2位千葉ロッテマリーンズ、3位ソフトバンク、4位東北楽天ゴールデンイーグルスは、シーズン最終盤まで、もつれにもつれた。

 平田瑛美記者は、担当球団ロッテを3位と予想。「吉井新監督のもと、若い選手をどんどん使って順位を上げてくる展開を考えた」というが、シミュレーション通りにはいかなかった。「シーズン中盤に首位に立ち、終盤に2位を争うまでの展開は予想外だった」

 ソフトバンク担当の鷹見正之記者は「近藤、有原、オスナ……。総額80億円ともいわれた空前の大補強に優勝を確信し、開幕前には日本シリーズまでの(自分の)予定を組んでた」と嘆息する。12連敗した7月以降、オリックスとの差はみるみる広がった。「やはり野球は投手力なのか。オリックスがうらやましい」

 担当・楽天の4位を見事に?的中させた笠井正基記者。5位にはロッテを見込んだ。「予想外だったのはロッテの手堅い野球。吉井監督はレギュラーシーズンで、救援陣に3連投を一度もさせないなど、選手のコンディションを優先する采配を見せた。躍進を支えた要因だと思う」と分析した。

 5位の埼玉西武ライオンズは、5月から急降下。首位争いをしていただけに、担当の藤田絢子記者は「いろんな意味で、山川問題は痛かった。Aクラス入りの力はあると思っていたのに……」。パ・リーグ担当の6人で唯一、オリックスの優勝を的中させたが、西武の3位予想が外れて肩を落とす。

 そして、2年連続最下位の北海道日本ハムファイターズ。新庄監督の2年目も実を結ばなかった。担当の畑中謙一郎記者は「オリックスの強さも、ソフトバンクのもろさも想定外。日本ハムは夏場の13連敗がすべて。野手の層の薄さは否めない」。来季への光は見えてくるだろうか。

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2023年11月28日16時24分 投稿
    【視点】

    肩の力を抜いて、お遊び半分(?)に楽しんで読んでほしい記事です。 わたしも何度か現場記者時代に予想しましたが、身びいきと思われたくなくて、担当チームの順位を厳しめに挙げていました。 「他人の芝生は青く見え」たり、「普段取材してい

    …続きを読む