世の中を変える力、住民運動成功例継承へ 吉野川シンポ実行委30年

武田肇
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 国の吉野川可動堰(ぜき)計画をめぐり、建設を疑問視する住民運動を支えた市民団体「吉野川シンポジウム実行委員会」の結成30周年を記念する集い「未来の川のほとりにて」が12日、徳島市内のカフェで開かれた。

 同計画は、吉野川下流にある第十堰を撤去し、約1千億円をかけて可動堰を建設するもので、2000年の徳島市の住民投票では建設反対が90%を超え、10年に民主党政権が中止を決めた。

 この日の集いは、実行委のリーダーだった故・姫野雅義さん(10年死去)の妻英子さん(74)ら6人が呼びかけた。住民投票の実現に奔走したメンバーら40人が参加。住民運動の「成功例」の一つとされる経験を、次世代にどう引き継ぐか意見を交わした。

 1993年の実行委結成時に取材をした、元朝日新聞徳島支局員の中村正憲さん(64)がスピーチし、「住民が声を上げれば(国の政策を)変えられるという自信と勇気を徳島は全国に与えた」と語った。

 住民投票条例の可決を目的に99年の徳島市議選に立候補し、市議を3期務めた会社社長の村上稔さん(57)も参加。「住民投票で(無駄な公共工事を続ける)世の中が変わると思ったが、いまいち変わっていない。これからもさらに100年、可動堰のない吉野川をみんなの力で守っていきたい」と話した。

 会場には、活動が広がるきっかけとなった、ニュースキャスター筑紫哲也さんやジャーナリスト本多勝一さん、俳優で釣りが趣味の近藤正臣さんらを招いて開いた94年のシンポジウム「吉野川発 川フォーラム」のポスターも展示された。(武田肇)

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