議員の自宅住所はどこまで公開するべきか――。さいたま市議会では今年、こんな議論が続いている。広報誌とサイトに全議員の自宅もしくは事務所の詳しい住所を載せてきたが、「自宅を公開すれば家族が危険な目にあうリスクがある」などと疑問の声が上がったためだ。県内の他の議会では「非公開」を認めるところも出てきた。(小林未来)
「議員でも個人情報の扱いは慎重にした方がよいのでは」。5月上旬、さいたま市議会の委員会で、立憲会派の出雲圭子市議(42)はこう問題提起した。
同議会は「慣例」で、サイトと市議選後に出す広報誌に、全議員の住所と電話番号を載せている。
住所は、自宅でも事務所でもいい。当選後に公表希望の方に○をつけ、書類を提出してもらっている。
議会局によると、サイトと広報誌への掲載は、合併で市が誕生した約20年前から続いている。「市民が議員に意見などを伝える手段になる」といい、議員から「公表したくない」と要望が来たことはないという。
さいたま市議会で賛否、近く結論
しかし、出雲市議は、事務所がないため自宅住所を公表せざるをえない議員の中には、不安を感じている人もいると指摘。各会派は今後の公開のあり方について検討することになった。
出雲市議は取材に、「特定の議員に対して反対意見がある人が、悪意を持って家を訪ねてくる可能性もある。子どもだけが留守番している場合もある。いたずら電話がかかってきた同僚もいる。家族が抱えるリスクは過大だ。住所の一部非公開などが選べればいい」と話す。
同月中旬には、共産党市議団…