パーキンソン病の私を救ったドールハウス 作品展の夢かなえた出会い

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山下剛
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 手づくりのドールハウスが10個できたら、作品展を開催する。それが横浜市磯子区の宇野悦子さん(76)の夢だ。

 ドールハウスをつくり始めたのは、パーキンソン病を発症したのがきっかけだった。

 7年前から背中に絶えず乗られているような感覚があり、翌年には腹部が締め付けられるような症状も加わった。その後の検査でパーキンソン病と判明した。

段ボールの中に「昭和」を再現

 薬が効いているときは、治ったかと思うほどだ。でも、効いていないときはじっと耐えて過ごしている。現在は前かがみになれず、トングを使って、ものを拾ったりズボンをはいたりしている。歩くときには歩行器を使う。

 4年前、パーキンソン病友の会主催の文化祭に作品を出展してほしいと声をかけられ、つくり始めたのが、以前、孫とつくったことがあったドールハウスだった。

 ミカン箱ほどの大きさの段ボール箱の中に昭和の雰囲気の民家を再現する。宇野さんのドールハウスの特徴は、身近な材料を活用することだ。

 割り箸や爪ようじ、ストロー、チューブのふた、靴下の留め金、野菜が入った編み袋……。畑の土にはコーヒー豆の出がらしを使った。家の中を見回して必要な素材がピタリと見つかったときの喜びは「格別だ」という。

 一つの作品をつくるのに1、2カ月かかる。筋肉が硬くなる病気の特性上、大きな動作は難しい。のりがついた壁紙を空気が入らないように貼るのは苦手だ。

 でも、指先が動く宇野さんは、つい熱中してしまう。

逃げるように作業に向かった

 1年前もそうだった。そのこ…

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