「世界で最も効果的な炭素吸収源」 湿地の再生こそSDGsのカギだ

有料記事

小坪遊
[PR]

 「湿地の保全は、複数の持続可能な開発目標(SDGs)の達成において決定的に重要である」

 そんな一文を、国際自然保護連合(IUCN)が9月に公表したSDGsに関する報告書の中に見つけた〈1〉。

 報告書は、環境に関わる目標の進み具合を検証した。機関や団体によって少しずつ違うが、SDGsの17個ある目標のうち、水(目標6)、気候変動(目標13)、海の環境(目標14)、陸の環境(目標15)の四つが主な環境関連の目標とされる。

 ページをめくると、気候変動対策の遅れや生物多様性の損失、人口増に伴って膨らむ水需要など、厳しい現状や予測が並ぶ。

 湿地の現状も極めて厳しい。

 ラムサール条約事務局が発行する世界湿地概況の2021年版によると、1970年以降の半世紀で、世界の天然の湿地は35%も減った。これは森林の約3倍の消失ペースだという〈2〉。

 一方で報告書は、目標達成に必要な行動についても紹介している。冒頭の文章はそこにあった。

 社会の安定や経済の発展は…

この記事は有料記事です。残り1412文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2023年10月10日16時3分 投稿
    【視点】

     まずは湿地の持つ多様な価値を伝えることが必要だということがよくわかる記事でした。実はこれは湿地だけでなく、森林や河川を含め、自然全般に言えることのように思います。そのためには、こうした価値を含む、GDPを超える指標の開発が必要だということ

    …続きを読む