47歳NEC支店長の過労死、出張明細やiPadの新証拠で逆転認定

中山直樹
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 NECの岡山支店長だった男性(当時47)の過労死を認めなかった岡山労働基準監督署の決定は誤りだとして妻が国を相手取り、遺族補償の不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁であった。岡田健裁判長は「男性は長時間勤務や連続勤務をしており、疾病には業務起因性が認められる」として、労基署の判断を追認した一審・福岡地裁判決と不支給処分をいずれも取り消す判決を出した。

 男性は1991年にNECに入社し、2012年から岡山支店長として勤務していた。2014年に脳出血となり、16年に死亡した。発症前半年の時間外労働について、一審は月76時間としたが、二審は、妻側が新たに提出した出張明細やスケジュールを管理していた私用iPad、運転日報などの証拠を元に81時間30分に伸びると認定した。

 妻(55)は判決を受けて「夫の会社での働きぶりを知っていたので、夫が倒れたときには労災であると確信していました。裁判で認めてもらえないことが続き悔しい思いをしましたが、今回の判決でようやく夫の働きぶり、頑張りが認められうれしいです。夫の頑張りがようやく報われる日が来たと思います」とコメントした。

 NECは「詳細は把握していないため、判決に対するコメントは差し控える」とした。(中山直樹)

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