金融庁、資産運用業界の監視強める グループ内より顧客優先を促す

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栗林史子
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 金融庁は29日、2023事務年度(7月~24年6月)に重点的に取り組む課題をまとめた金融行政方針を発表し、資産運用会社の信頼性向上を柱の一つにするとした。国内の資産運用会社は大手の銀行や証券会社の系列企業が多く、顧客よりグループ内を向いているのではないかとの疑いが指摘されてきた。金融庁は業界の透明性を高めることで、「貯蓄から投資へ」の流れを後押ししたい考えだ。

 資産運用会社は顧客から預かった資金を運用するほか、投資信託などの金融商品の開発もしている。運用会社が開発した商品を販売して顧客から資金を集めるのは、証券会社などの販売会社が担う。

 金融庁は、この資産運用会社への監視を強める。経営陣を含めた人材の専門性の向上を促したり、系列会社からの独立性を高めるよう促したりする。金融庁は「ガバナンス(企業統治)の向上を後押しするための環境整備」としている。

 金融庁が問題意識を持っているのは、日本の資産運用会社独特の幹部人事や、運用体制だ。金融庁によると、日本の大手金融機関の系列にある資産運用会社11社の経営トップの7割が、在任期間3年未満(22年12月末時点)。グループ内の他社からの異動後、トップになる例が多いという。

 一方、世界大手30社のトッ…

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