第1回痩せこけた5歳児、埋められたきょうだい ケニアで起きたカルト餓死

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 その教団の「聖地」への入り口は、なんの変哲もない雑木林にしか見えなかった。

 教祖は「世界の終わり」を語り、信者らに財産を売って献金させ、この森の奥に住まわせてきた。親に同伴した子どもの「2世」信者も暮らしていた。

 そして今年、この場所で、断食により信者らが集団餓死する事件が起き、400人以上が遺体で見つかった。

 自分たちの教義を絶対視し、反社会的で過激な思想を信奉するカルト教団の狂信的な行いは、国内外で大きな注目を集めた。

 いったい、この森の奥で何があったのか――。

【連載】餓死カルト ケニアで何が起きたか

財産を売り払っての高額献金、一家離散、親に入信させられた2世信者……。新興宗教による深刻な社会問題が起きているのは、日本だけではない。ケニアで起きた、カルト宗教による集団餓死事件を追った。

 5月23日昼過ぎ、真相を探るため、記者はケニア東部の沿岸都市マリンディから内陸へ車を走らせた。

 目的地は、「餓死すればキリストに会える」と主張して信者を集団餓死させたとされるカルト教団「グッド・ニュース・インターナショナル教会」の聖地だ。

 道中、同行していた元幹部信者のタイタス・ムウェリさん(42)は、車内で決してサングラスを外さなかった。集団餓死を世間に暴くきっかけを作った一人。報復を恐れているのだ。

聖地の入り口 簡素な小屋

 「あれだ」…

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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2023年8月31日1時1分 投稿
    【解説】

    連載「餓死カルト ケニアで何が起きたか」(全3回)の第1回。すでに、「「飢えればキリストに会える」 カルト教団のメンバーら89人死亡か」(朝日新聞デジタル2023.4.27[https://digital.asahi.com/article

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