重なる二つの「五輪」 変容した東京大会、教訓生かしきれぬ札幌招致

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岡戸佑樹
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 東京、札幌。いま、二つの「五輪」が重なり合うように映る。

 そう思わせたのが、東京五輪パラリンピックの準備に携わってきた関係者の一言だ。

 「予算が膨れあがり、競技会場の問題だって二転三転した。そういった東京五輪の反省や教訓が十分に検証されていない。本来ならば徹底的に検証することで、札幌市五輪招致にもつながるはずなのに……」

 東京大会の現実を深く知る立場なだけに、言葉が重く響いた。

 2030年冬季五輪の招致をめざす札幌市は、その教訓を表面上はいかしているように映る。東京大会をめぐる汚職・談合事件を踏まえ、6月に公表した大会見直し案では、組織委員会理事の一部を公募するほか、組織委を監視するための第三者機関設置などを盛り込んだ。

 だが、これらは不正行為に関する教訓であって、大会運営そのものとは少し違う。それだけでは、「隠れている負の部分が見えない」というのが関係者の言いたいことだった。「五輪不信」を招いた根本は、不正よりも大会運営の変容だったのではないか、との思いもあるという。

「五輪は金がかかりすぎる」

 私自身も13年の東京大会招…

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    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2023年8月10日11時0分 投稿
    【視点】

     以前から指摘しているが、東京大会では第三者評価をきちんとしなかったことが、最大のミスの一つ。IOCが評価スキームを2017年に中止したが、東京が主導して第三者評価を続ける選択肢もあった。資金不足が理由として挙げられたが、かかった費用や、汚

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