ルーツを巡る旅、その先に フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん

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宮崎亮
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 「入管法の改悪反対!」「誰も殺すな、仲間を殺すな!」。太鼓の音やダンスミュージックに合わせて大通りを進む人々に、幾度もシャッターを切る。5月の東京・渋谷。難民認定申請中の外国人の送還を可能にする入管難民法改正案への、大規模反対デモだ。

 2年前に名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの妹らの姿もあった。スリランカの実家まで訪ね、取材を重ねた遺族だ。笑顔で再会を喜び、手を振って別れた後に言った。「マイノリティーの彼女たちがいつまで矢面に立たないといけないのか」

 ジャーナリズムを志したのは高2の夏がきっかけだ。認定NPO法人「国境なき子どもたち」のプログラムでカンボジアの貧困地域を取材することに。

 元々は海外にも貧困問題にも関心はなく、日常と違う環境に身を置きたいだけだった。離婚し家を出た父、13歳上の兄を中学時代に相次ぎ亡くした。はっきり理由がわからぬままの「あいまいな喪失感」を埋めたかった。

 渡航前、驚きの事実が判明する。パスポート取得のため戸籍を取ると、父の欄に「韓国籍」とあった。

 父は何かを隠しているのでは…

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