「物価高カバーの賃上げは寂しい」 AGC社長が考える競争力の本質

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聞き手・西尾邦明
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 基本給を一律に底上げするベースアップを含む賃上げを、2030年まで進めていく――。総合素材大手AGC(旧・旭硝子)がそんな方針を明らかにしました。近年、日本企業の多くは激しい国際競争にさらされ、「ベアは論外」とも言われてきましたが、経営者の考えに変化が出ています。「持続的な賃上げが必要だ」と明言するAGCの平井良典社長にそう考える理由を聞きました。

 ――2021年に社長に就任し、昨年は14年ぶりにベアに踏み切り、今年も賃上げ率は6・36%(内ベア3%)。6%超は2年連続ですが、狙いは何ですか。

 「人材はAGCグループの成長の原動力であり、優秀な人材の獲得競争で他社に勝つためです。総合職に限らず、工場の技能職も若い人が減る中、人材の獲得競争が起きています。賃金全体を底上げするとともに、新入社員は13・1%増と手厚くしました。グローバルでも日本の賃金だけが取り残されており、アジアの優秀人材の確保のためにも高い賃上げが必要だと判断しました」

「私たち経営者もようやく気づいた」

 ――今年の賃上げでは物価高も考慮したのですか。

 「意識していません。物価高…

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