ベネチアは「危機遺産」に? 気候変動と観光過剰でユネスコが勧告

藤原学思
[PR]

 国連教育科学文化機関ユネスコ=本部・パリ)の「世界遺産センター」は7月31日、イタリア・ベネチアについて保全が危ぶまれる「危機遺産」リストに加えるよう勧告した。気候変動オーバーツーリズム観光公害)に対応できていないことが理由という。ロイター通信など欧米メディアが報じた。

 ベネチアは「水の都」と呼ばれ、1987年に街全体が世界遺産に登録された。米CNNによると、ユネスコ側は問題への対処を求めてきたが、目立った進展は見られず、「ベネチアのずば抜けた普遍的価値に取り返しのつかない変化をもたらすおそれがある」と指摘したという。

 ベネチアでは2019年11月、街の大部分が浸水する被害があった。また、今年2月には干ばつが深刻化し、名物のゴンドラが運航できない事態に陥った。

 世界遺産センターは計1157の世界遺産について定期的に審査しており、「危機遺産」は55に上る。内戦が起きたシリアのアレッポが13年にリストに入った。ロイター通信によると、世界遺産センターはベネチアのほかに、戦時下にあるウクライナの首都キーウや西部リビウも「危機遺産」に入れるよう勧告している。9月にサウジアラビア・リヤドで開かれる世界遺産委員会で判断される。藤原学思

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら