誰よりも「日本一」という称号に飢えていた。
今年2月に開催されたフィギュアスケートの全国中学校大会(全中)。
男子ショートプログラム(SP)で首位に立った田内誠悟(15)は、フリーで3位に踏みとどまり、総合優勝。「中学日本一」のタイトルを手にした。
「フリーはジャンプが抜けてしまったり、連続ジャンプのコンビがつかなかったりしたけど、優勝したい気持ちが強かった。ジュニアに上がってから大技がなくて、なかなか優勝を狙える試合がなかった。目標だった優勝を果たせて良かった。ただ、SP、フリーともに取りこぼしや失敗があったので、そこが自分の課題です」
優勝に浮かれることなく、次を見据えている。
この全中では、同学年でアタマ一つ抜けている存在と言われる中田璃士(りお)(TOKIOインカラミ)がケガで欠場していたという背景もあり、田内にとっては「優勝しなければならない」大会でもあった。任務をしっかり遂行してみせたのは、さすがと言っていいだろう。
世界選手権で2度優勝を果たした安藤美姫さんらが輩出した名古屋の名東クラブ出身だ。安藤さんの恩師でもある門奈裕子コーチから指導を受けている。安藤さんからも月に1度程度、直接指導を受けているという。
田内の持ち味は長い手足を生かした表現力。音楽の意味をよく理解し、体全体を使って情熱的に踊る。表現力においては、中田と「双璧」をなす有力選手である。
ただ、本人が言うように「大技」がないのが現在、目の前に立ちはだかる課題だ。
中田はトリプルアクセル(3回転半)はもちろん、4回転トーループまで跳んでいる。
一方の田内はトリプルアクセ…
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