グローバルサウスを引き込みたいG7 投資促進「中国のわな」に対抗

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新屋絵理 石原孝
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 ウクライナゼレンスキー大統領が20日の訪日直後、首脳会談したインドを含む「グローバルサウス」の動向は今後の焦点だ。これらの新興・途上国は、対ロシア制裁などでG7主要7カ国)に必ずしも同調していない。積極的な開発援助で権益を広げる中国と関係を深め、したたかな外交を展開する国もある。G7はグローバルサウスに寄り添う姿勢を改めて打ち出し、影響力拡大を狙った。

 日本政府の発表によると、岸田文雄首相は20日、グローバルサウスに関する会合で「各国が直面するニーズに応じてきめ細かに対応する」と強調した。G7首脳間では、途上国が自国での加工などを通じ、より付加価値の高い製品を生産できるよう促していくことなどを確認した。

「西側が問題に取り組んでこなかった」

 グローバルサウスは、G7という「西側」と中ロなどとの間で巧みにバランスを取りつつ、存在感を高めてきた。インドのクワトラ外務次官は、サミット直前の18日の会見でも「グローバルサウスが直面する問題に、西側が適切に取り組んでこなかったのは明らかだ」と述べていた。

 インドを含め、今回のサミットに招待された各国は独自の動きをみせてきた。ベトナムは武器の調達をロシアに頼り、ロシアを非難する国連総会の決議では棄権や反対に回った。今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めるインドネシアジョコ大統領も「全ての国と分け隔てなく平等で包括的な協力を推進する」と強調。ブラジルのルラ大統領は4月に訪中した際、「米国(の武器供与)が戦争を助長している」と発言し、今回のG7サミットの会合で「解決策は、対立するブロックの形成にはない」と訴えた。

 いまグローバルサウスが直面…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2023年5月21日7時35分 投稿
    【視点】

    グローバルサウスの取り組みがG−7の最大の課題であることは間違いありません。G−7が世界経済に占める割合が徐々に低下しているだけでなく、中国の存在感、ロシアに対する各国の姿勢をみても、世界政治におけるG−7の相対化が顕著なためです。

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