次世代のインターネットと呼ばれる「ウェブ3・0(スリー)」の先駆者で、マスク・ネットワークのスジ・エンCEO(最高経営責任者)(27)が東京都内で朝日新聞の取材に応じた。エン氏は、「ChatGPT(チャットGPT)」をはじめとして、急速に普及するAI(人工知能)について、政府による規制は「間違ったアプローチ」と述べた。
エン氏は、チャットGPTなどの生成AIについて、「産業革命のように、生産性を大きく向上させる」と評価。一方、AIの開発に必要なデータの収集方法や活用の過程が「ブラックボックス化している」と問題視した。
AI開発にあたって、特にネット利用者の個人情報を含む膨大なデータが使われている可能性があるとし、「そうしたデータはグーグルやフェイスブックなど一握りの巨大IT企業しか扱えない。私たちのデータはそうした企業に搾取されている」と指摘した。
一方で、エン氏は政府によるAI規制は「(政府がコントロールしたとしても)市民が自らのデータをコントロールできるようになるわけではない」として反対の立場を示した。その上で、グーグルなどのプラットフォームを介さずに、市民が自らデータの流れなどを管理できる「分散型ネットワーク」を提唱。「ウェブ3・0」時代への移行が必要であると訴えた。(坂本進)…