牧野富太郎に南方熊楠が送った竹 学説通り120年ぶりに地元で開花

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小林哲
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 NHK朝ドラマ「らんまん」のモデルとなっている植物学者の牧野富太郎(1862~1957)に120年前、和歌山県の在野の博物学者だった南方熊楠(1867~1941)が送った標本に、開花したハチク(淡竹)が含まれていたことが、史料を保管する南方熊楠顕彰館(同県田辺市)の調べでわかった。

 ハチクは120年周期で一斉に開花するとされるが、生態にはいまも謎が多い。地元では今年、ハチクの開花が確認されていて、南方の標本は120年周期を裏付ける貴重な証拠の一つになるという。

 顕彰館によると、標本は1903(明治36)年9月27日付の地元紙に包まれていた。当時、南方は留学先のロンドンから帰国し、現在の同県那智勝浦町にあった旅館を拠点に植物採取を続けていた。日記などの記録から、標本はその際に採取されたものとみられる。

 南方は、採取した珍しい標本類を知人を介して当時気鋭の植物学者だった牧野に送り、たびたび鑑定や評価を依頼していた。

 牧野からの回答は、同じ知人を介して南方が受け取った1911年(明治44年)2月4日付の書簡に同封されていた。専用の紙に「南方君ノ分」と題して12点の標本の鑑定結果が記されており、その中に「はちく」と書かれていた。ハチクの標本も一緒に返却された。

 ハチクは中国原産で、日本には8世紀ごろ伝わったとする説がある。過去の文献などから120年周期で開花するとみられるが、科学的な仕組みや理由はわかっていない。

 開花の時期や期間は地域や環境によってばらつきがあり、開花後は一斉に竹林が枯れて、新たな竹林が再生することを繰り返すという。

 1904年に南方が移住した現在の田辺市内でも今年、ハチクが開花している。

 竹林を視察した南方熊楠賞の…

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