ロシア・ウクライナ両国と「関係持つ」 エジプト大統領の世界観とは

有料記事ウクライナ情勢

カイロ=春日芳晃 武石英史郎
[PR]

 エジプトのシーシ大統領が29日、岸田文雄首相との首脳会談に先立ち行った朝日新聞との単独会見。ロシアによるウクライナ侵攻で既存の国際秩序が揺らぐなか、中東の「グローバルサウス」の主要国は何を目指し、どう動いているのか。主要7カ国(G7)議長国の日本に何を期待するのか。約70分にわたり幅広く語った。

 中東では、2011年初頭から各国で本格化した民主化運動アラブの春」をきっかけに、地域の覇権や国益をめぐる各国の対立が先鋭化した。一部では武力衝突や内戦に陥った。

 だが今年に入って、緊張緩和の動きが相次いでいる。3月には激しく対立してきた地域大国サウジアラビアとイランが、中国の仲介で外交関係の正常化に合意。4月には、シリア内戦で反体制派を支持してきたサウジのファイサル外相が、シリアの首都ダマスカスを訪れて体制側のアサド大統領と会談した。

 中東諸国の関係改善について、シーシ氏は歓迎するとした上で、「中東では不安定な状態が10年以上続き、多くの苦しみを受けてきた。だからこそ、緊張を緩和すること、問題を解決することの必要性と重要性を痛感したはずだ」と強調。その結果、「緊張緩和と和解こそが、外交政策として適切な選択肢と考えるようになった」という見方を示した。

 また、「不安定な状態」の代表例として、シーシ氏は10年以上続くシリア内戦を挙げた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などによると、シリア内戦で国外に逃れた難民は680万人、国内で避難を強いられている避難民は680万人に上るという。

 シーシ氏は「難民キャンプや避難民キャンプでの生活が、10年続いたら子どもたちはどうなるか、想像してほしい。1人や2人の子どもの話ではない。ある世代全体の話だ。この地域は、その影響を受けている」と指摘した。

 記事の後半では、ロシアとその侵攻を受けるウクライナについて、シーシ大統領がどういう立場を取るのかについても紹介します。

「冷戦の再来を望まない」

 エジプトをはじめとする「グ…

この記事は有料記事です。残り871文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2023年5月1日8時47分 投稿
    【視点】

    エジプトは、米国の同盟国とされることが多いが、ロシアとの繋がりも意外に深い。 エジプトは、ロシアにとって最重要な穀物輸出相手国の一つである(ウクライナにとっても然りであるが)。 エジプトは、ロシア人観光客にとって人気の旅行先でもあり、現

    …続きを読む
書籍「ウクライナ侵攻 10の焦点」が発売中

書籍「ウクライナ侵攻 10の焦点」が発売中

1年余のウクライナ取材の集大成となる「検証 ウクライナ侵攻10の焦点」が発売中。朝日新聞出版、1870円(税込み)。※「朝日新聞出版」のサイトへ遷移します。[もっと見る]