阪神支局襲撃「昔の話じゃない」 民主主義とメディアの現在地を問う

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 朝日新聞阪神支局で記者2人が殺傷された事件から5月3日で36年になる。朝日新聞労働組合は事件翌年から「言論の自由を考える5・3集会」を開いてきた。オンラインで開催する今年のテーマは「いま見つめ直す、民主主義を支える新聞の役割」。登壇予定のパネリストらに、民主主義と言論をめぐるメディアの現状について語ってもらった。

阪神支局襲撃事件36年 言論の自由を考える5・3集会

 集会は5月3日午後1時から。参加無料。視聴するにはhttps://53asahiroso36.peatix.com別ウインドウで開きますから申し込む。QRコードからもアクセスできる。問い合わせは5・3集会事務局(auosk@asahi.email.ne.jpメールする)。

首相は「真摯に」と言うけれど… 上西充子さん

 「国会パブリックビューイング」を始めたきっかけは、働き方改革関連法案が審議された2018年の国会です。

 当時の安倍晋三首相が、裁量労働制で働く人の労働時間について「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」と、事実と異なる答弁をしました。後に撤回しましたが、国会審議の問題点を多くの人に知ってほしいと思うようになりました。

 同時に感じたのは、情報を得るルートによって、私たちに見えるものは違うということ。当時はメディアの取り上げ方に大きな差があった。働き方という身近なテーマなのに、接するメディアによっては問題に気づかない人がいるまま、採決に至ってしまう。そんな危機感がありました。

 政権側の答弁だけを切り取ると、伝わるものは少ないと言えます。

 今国会で、同性愛者であることを公表している議員が「私はいつ愛する人と結婚できるようになるのか」と質問しました。岸田文雄首相は「社会の理解や議論の深まりによって、時期が決まってくると考えます」と答えただけ。こうしたやりとりを見ると、どんな人が当事者の声を届けようとしているかや、それに対する政権側の態度がわかります。

 質疑に立つ議員の姿を見聞きすることで、この人や党を応援しようという気持ちが生まれます。それが「野党」の一言でくくられてしまうと伝わりません。

 日本で、世界で、民主主義の根幹をなす「言論の自由」が揺らいでいます。記事の後半では、その担い手となるべきメディアの存在価値について、旧統一教会問題を追及してきた弁護士の菅野志桜里さん、4度のウクライナ入りで現地取材を重ねたフリージャーナリスト村山祐介さんへのインタビューも紹介します。

 岸田首相は自分の言葉で語っ…

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    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2023年5月3日14時48分 投稿
    【視点】

    1987年の朝日新聞阪神支局銃撃事件から今日5月3日で36年。私の生まれ故郷の兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局で記者2人が銃撃され殺傷された。言論機関、ジャーナリズムを標的とした暴力であり、テロリズムである。こうしたジャーナリズム、言論に対す

    …続きを読む