今春、政界を引退した前大阪市長で日本維新の会前代表の松井一郎氏が朝日新聞のインタビューに応じた。維新が制した奈良県知事選や衆院和歌山1区補選について、「相手のオウンゴールも多かった」と指摘。大阪で大きな政治闘争を引き起こしてきた大阪都構想の再挑戦は「至難の業だ」と語った。(聞き手・寺沢知海、川田惇史)
――今春の統一地方選では維新の目標だった600議席を達成し、伸長した
維新で国政選を何度も戦う中で、身を切る改革を背骨の政策にすえて、納税者の目線で税金の使い方を考えていくというところが、全国の皆さんに認知されてきたと思う。47都道府県に市町村が約1700あるんだから定数の多い選挙区で1人ずつ立候補すれば当選圏内に入るんじゃないの、と。そういう意味では600っていう目標は無理な目標じゃなかったと思う。
――大阪ダブル選で勝利し、奈良県知事選と衆院和歌山1区の補選も制した。
まだ和歌山や奈良でできていないけど、大阪の改革っていうのが和歌山や奈良でも改革してほしいよねっていう、そういう期待値のあらわれだと思ってる。ただ、奈良は自民党が分裂したことが我々にとってはプラスだったし、選挙で有利になった。和歌山(1区)ももともと自民党の議席ではなかった。僕は圧勝とはとらえていない。相手のオウンゴールもたくさんあったからね。
――一方、大阪の首長選では吹田市や高槻市、寝屋川市で維新の新顔候補が現職に敗れている。
首長が一番強いのは2、3期目ですよ。大きな失敗をしてなければ。例えば公用車に高級車のセンチュリーを買うとかね。そういう世の中の人の感覚とずれている行動があれば批判がどんどん出てきて、維新の候補者が受け皿になるけど。そうでなければ、たとえ維新を支持してても、「今の市長さん頑張っているじゃないの」という結果だと思う。住民は冷静に見ていて大きな変化は望まれていないということだと思う。
創業者が去った後の維新の展望に加え、政界への復帰はないのか。インタビューの後半で聞いています。
都構想への「3度目」の挑戦 維新に必要なものとは
――カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を進めたが、批判は根強い
大阪の経済成長のためには必…
- 【視点】
よく「維新が大阪で強いのは、関西ローカルのテレビや新聞が維新ばかり取り上げるからだ」という批判があります。この松井さんのインタビューも、「また維新の主張を垂れ流している」と言われるかもしれません。 しかし、テレビや新聞が取り上げるから
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