散歩、スピーチ、ゴミ拾いで育む五感 逆転を生んだ気づきと第六感

有料記事高校野球メソッド

構成・木村健一

 興南高校(沖縄)の野球部では、毎朝、三つのことを続けている。散歩と1分間スピーチ、そしてゴミ拾いだ。我喜屋優監督は「野球につながっている」と語る。その理由を聞いた。

 散歩は列になって、だらだら歩くのではありません。字のごとく散り散りになって、思い思いのルートを歩きます。

 スピーチでは、散歩で気づいたことや感じたことを1分間で話してもらいます。言葉で伝えるためには、情報や知識が必要です。

 そのために、歩きながら、五感を働かせます。

 耳を澄ませて、鳥や虫の音を聴く。草花や木々に触れ、香りを嗅ぐ。風や気温の変化を肌で感じる――。

 自分の足を使って五感を鍛えることは、指でスマートフォンの画面をポンポン押して、情報を集めるよりも、ずっと大事なことだと思います。

 スピーチでは、情報を分析して要点をまとめる力やアナウンサーのように伝える力も欠かせません。

 野球でも、将来、社会に出てからも、大切な力だと思います。

 2010年夏の選手権大会。準決勝の報徳学園戦でエースの島袋洋奨(ようすけ)が打ち込まれ、5点を先行されました。選手たちは大量失点を予想していなかったでしょう。

 でも、焦っていませんでした…

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