欧米「お金出すけど口出さず」 学術の独立性、研究力回復のためにも

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嘉幡久敬
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 日本を代表する科学者の組織「日本学術会議」のメンバーの選び方をめぐり、政府と学術会議が対立を深めている。「透明性を高めるため」と政府が法改正による見直しを求めたのに対し、17日にあった会議の総会では「独立性が損なわれる」と反発や批判が続出した。

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 日本学術会議は政府機関であり、国が予算を出しているのだから、会員の人選に口を出したっていい――。そんな考えがある。だが、日本学術会議法は、学術会議は政府から「独立して職務を行う」と定める。

 「学術の独立性」の意義は、気候変動新型コロナといった危機への対処を考えるとわかりやすい。不確実性の大きな現象が長期的にもたらす危機に対し、その時々の政権が、目先の利益を重視しがちな政治や経済の観点だけで判断すると政策を誤りやすい。高度な専門知識と多様で幅広い視野に基づいた政策提言が欠かせない。かつて、気候変動対策に懐疑的な米トランプ政権が画策した関連の研究予算の削減に、米国の科学者らを中心に抗議の動きが世界で広がった。政治の誤りを正す学術の機能は、学術が政治から独立していればこそといえる。

 独立性の意義は先進各国で広…

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