日本男子初のフィギュアスケート世界選手権連覇を成し遂げた宇野昌磨(25)=トヨタ自動車=は優勝の翌日、取材でこんなことを口にした。
「僕は小さい頃から高橋大輔選手に憧れて、そんな選手になりたいって思っていました。いつしか、競技をやる以上、トップで戦いたいという気持ちが芽生えた。それでジャンプを頑張るようになったのはすごくいいことなんですけど、やりたいことが一つ成し遂げられたからこそ、過去に僕がもう一つ成し遂げたかった『表現者』としての魅力を、自分の魅力を何か自信もって言えるスケーターになりたいと思っています」
この言葉に、素直にうなずくことができなかった。
果たして宇野は「表現者」ではないのか。いや、決してそうではない。
彼もまた「表現者」として世界トップの選手であることは、誰も否定できない。
世界選手権の開幕直前に4回転サルコーの練習で転倒し、右足を負傷した。大会前のコンディションも良くなかった。そんな状況でトップパフォーマンスを求める方が酷だろう。宇野が昨年12月のグランプリ(GP)ファイナル以降に取り組んできたことが、ただ完璧に出せなかっただけである。
そこが「完璧主義者」の宇野が、連覇したにもかかわらず、どことなく反省の弁の方が多かった要因だったのではないか、とみている。
彼を指導するのは、現役時代、そして引退後も「芸術家」のようなパフォーマンスをみせてくれるスイスのステファン・ランビエル氏だ。
イタリア・トリノで行われたGPファイナルで立ち話をした時、ランビエル氏からこんなことを聞いた。
「昌磨は自然な腕の使い方が…
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