暴力団勢力、人数減と高齢化が顕著に 50代以上が半数超

編集委員・吉田伸八
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 昨年末時点の全国の暴力団勢力は2万2400人で、前年を1700人下回り、18年連続で減少したことが警察庁のまとめでわかった。警察が昨年1年間に検挙(逮捕・書類送検)した組員などは9903人で、初めて1万人を割り込んだ。警察庁は「暴力団排除の取り組みや意識が社会に浸透しているため」と説明。勢力が減り続ける中、組員の平均年齢が上がっている実態も明らかになった。

 勢力の内訳は、暴力団組織に所属する構成員(組員)が1万1400人、組織に属さないが活動に関わる準構成員などが1万1千人で、いずれも前年より900人減った。団体別の勢力は、最大の山口組(本部・神戸市)が8100人、住吉会(同・東京都港区)が3800人、稲川会(同)が3100人、神戸山口組が760人など。

 山口組は2015年に分裂し、神戸山口組と対立抗争状態が続いている。20年に神戸山口組から離脱した池田組(本部・岡山市)と山口組の間でも対立抗争事件が起きている。

 昨年検挙した構成員や準構成員らは前年比15・6%減の9903人。1991年の暴力団対策法制定当時の3万人台から減少傾向が続き、17年に2万人を割っていた。

 昨年末時点の全暴力団勢力2万2400人の年齢構成をみると、50代が30・8%と最多で、40代26・3%、30代12・9%、60代12・5%、70代以上11・6%、20代5・4%の順に多く、50代以上で半数以上を占める。構成員の平均年齢は54・2歳で、10年前より6・8歳上昇。総務省の統計を基に警察庁が試算した成人男性の平均年齢は今年1月現在で55・3歳で、10年前からの上昇分は2・3歳といい、構成員の年齢上昇幅が大きい。警察庁は「活動が難しくなるなか、上下関係に縛られる暴力団を若い世代が敬遠しているのも一因ではないか」と分析している。

 暴力団勢力や検挙が減る一方で、暴力団のように明確な組織性はないものの集団的、常習的に違法行為に関わる「準暴力団」が勢力をのばし、活動を活発化させている状況がある。警察庁は、準暴力団が特殊詐欺などを資金源にしているとして、実態解明や取り締まりを進めるという。(編集委員・吉田伸八

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