イランの体制揺るがすヒジャブデモ Z世代はなぜ立ち上がったのか

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聞き手・佐藤達弥
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 イランで女性が髪を隠す布「ヒジャブ(ヘジャブ)」の着用をめぐり、逮捕された22歳の女性マフサ・アミニさんが急死してから、16日で半年がたちました。一時は全土に拡大した抗議デモは、イランの政治や社会にどのような影響を与えたのでしょうか。イランの政治や社会に詳しいテヘラン大学のサデグ・ジバキャラン教授(政治学)は、デモが「体制を揺るがした」と語ります。

 ――デモはアミニさんが亡くなった昨年9月から現在まで、半年もの長期間にわたって続いています。

 過去にイランで起きた抗議デモは、いずれも体制を動揺させるものではありませんでした。

 しかし、今回の(デモのスローガンから)「女性・命・自由デモ」と呼ばれる抗議活動は、体制を揺るがしています。体制内部にいる(精鋭部隊の)革命防衛隊治安部隊、国会議員といった人たちは、幅広い層の人々に不満が広がっていることに気づいています。

 体制内の彼らは、抗議デモがあるたびに「特別なことは起きない。デモが終われば、状況は落ち着くだろう」と考えてきたと思います。ただ、今回は自分たちが、イラン社会から根深い不満を突きつけられていると思ったことでしょう。

 また、今回のデモは、(1990年代半ば以降に生まれた)Z世代のデモだったとも言えます。それでは何が、この世代にとって問題なのでしょうか。

 彼らがアイデンティティー・クライシス(自己喪失)の問題を抱えていると言う人もいれば、経済や失業が問題なのだと言う人もいます。

 私は、これらの問題は抗議デモの主だった理由ではないと思っています。

抗議デモのきっかけとなった女性の死から半年。記事の後半では、この問題をめぐって日本側からできることについても、語ってもらっています。

 ――では、若者たちにとって何が問題だったのでしょうか。

 彼らは、(今のイスラム体制…

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