定数割れの危機? 足利市議会で何が……

統一地方選挙2023

根岸敦生
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 【栃木】任期満了に伴う4月の議員選を前に、定数割れの懸念が高まっていた自治体がある。市制施行100年を超え、かつては宇都宮に次ぐ県内第2の市として存在感を示してきた足利市だ。何が起きているのか。

 今回の選挙では現職7人が退くが、公明党の新顔2人を除き、立候補の動きは鈍かった。候補者数が定数24を満たすかどうかが見通せず、ある市議は、2月定例会中に定数22に減らす検討を急ぐよう求めたほどだ。市の地区自治会連合が22あるのを根拠にしたという。無投票選挙を避けるための苦肉の策だった。

 2月26日の立候補予定者説明会。参加する陣営は定数を下回るとの見方があったが、29陣営が顔をそろえた。内訳は現職17、新顔11、元職1。駆け込みで様子見の新顔が増えた模様だ。

 戦後、通常の足利市議選が無投票になった例はなく、まして定数割れを起こしたことはなかった。県内では2011年の芳賀町議選で定数割れの欠員1となった例がある。

 結果として今回も定数割れは回避されそうだが、地方議員のなり手不足は足利ほどの規模の市でも身近な問題になりつつあるということだろう。説明会に出席したベテラン市議は「無投票、定数割れになってはいけないと思い、出席した。無投票にはならなそうだし、後援会には『辞めるので後継者を探して』と話している」という。

 後継者不足は深刻だ。引退する大須賀幸雄市議(74)は「後を託す候補者を探したが、結局だめだった」といい、柳収一郎市議(80)も「いざ選挙となると後援会作りが大変。何人かに打診はしたものの、実らなかった」。中山富夫市議(74)も「足利は自営の方が多かったけれど、今はサラリーマンが増えている。探したが、引き受けてくれる人が見つからなかった」と話す。

 市議会の栗原収議長は「二元代表制の地方自治で、市民の代表の人数がそろわないというのは望ましくない。一方、定数を減らすと地域の声がひろえるのか。議員のなり手が減っていることに危機感を持っている」と語る。

 自民党足利支部幹事長の渡辺悟市議は「自民党は宇都宮で将来の議員のなり手を育てる会を催しているが、足利でも独自に20~40歳代の若手を育てる場をつくる必要があるかもしれない」と打ち明ける。

 市の執行部も危機感を抱く。早川尚秀市長は「地方議員が大変なのはわかっているが、市議は市民の代表として街づくりを担う重要で誇りある仕事。市議選はこの街をどうするかを決める大事な機会だ」と話している。根岸敦生

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