アベノマスクの単価情報 黒塗り部分の開示を命じる 大阪地裁判決

松浦祥子
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 政府が新型コロナウイルス対策で全国に配った布マスク(通称・アベノマスク)の単価や発注枚数の情報を「黒塗り」にした国の対応の是非が争われた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。徳地淳裁判長は「公にしても、国の利益や企業の競争を害する恐れはない」と判断し、厚生労働省文部科学省に対し、黒塗り部分の開示を命じた。

 判決によると、政府はマスクの需給逼迫(ひっぱく)を受け、2020年の春以降、全世帯などにマスクを配った。神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授は両省に納入業者との契約書などの情報公開を求め、開示されたが、単価などが黒塗りだったため、開示を求めて同年9月、提訴した。

 国側は「企業の営業ノウハウなどが同業他社に知られる」「今後マスクを調達する際、交渉で不利になる」などと反論していた。

 徳地裁判長は、単価や発注枚数は秘匿性が高いとはいえず、公になっても「企業のノウハウや調達能力を正確に推測できない」と指摘。政府が随意契約で購入したことから、「税金の使途の説明責任」の観点から国は開示を受忍すべきだとした。また、政府が大量のマスクを再び調達する可能性は「常識的に考えてかなり低い」などとし、計45件の文書の黒塗り部分を開示すべきだと判断した。

 上脇氏は判決後の記者会見で「税金を使った行為を十分に検証できないのは問題。国は控訴せず、一日も早く開示すべきだ」と述べた。厚労省は「厳しい判決内容。今後の対応は関係省庁と協議のうえ決定したい」、文科省は「担当者が不在で対応できない」とのコメントを出した。(松浦祥子)

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  • commentatorHeader
    せやろがいおじさん
    (お笑い芸人・YouTuber)
    2023年2月28日15時22分 投稿
    【視点】

    アベノマスクに限らず、様々な件で公文書の黒塗りが行われていて、なぜ自分が納めた税金の使いみちを知ることができないのか心底不思議であり、憤りを感じます。今回は大阪地裁がアベノマスクの単価の開示を命じましたが、その他にも妥当性が疑われる黒塗りは

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  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年2月28日15時46分 投稿
    【視点】

    何にいくら使ったのかがわからないようでは、情報公開とは言えません。黒塗りだらけで情報を公開したフリだけをすることに対しては、納税者としてそれそのものに厳しい視線を注がないといけませんね。それにしても、そのつど訴訟で争わないといけないというの

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