スポーツ推薦ゼロで甲子園 大敗後、選手を本気にさせたサプライズ

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構成・安藤嘉浩
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 日大三島(静岡)の野球部は昨年12月、2023年のキャッチフレーズと標語を、部員だけで話し合った。「私は約3時間、じっと生徒たちの意見がまとまるのを待った」と永田裕治監督(59)は語る。

 生徒らの自主性を大切にしたいと思った。私が口を挟んだら早く方向性が出るかもしれんが、それでは意味がない。ああだ、こうだと意見を出し合っとった。その時間に意味がある。

 ただ、「甲子園で1勝」という目標は「春夏連続出場を果たしたチームとしては中途半端やないか」と疑問を投げかけ、再考を促した。標語については「三つ目におれの意見も入れてくれ」とお願いした。

 『全員で甲子園で優勝』

 ・返事 挨拶(あいさつ) 声 ダッシュ

 ・妥協しない

 ・報告 連絡 相談

 日大三島野球部は今年、これらの言葉を掲げて活動していく。生徒には「自分らで考えたんやから、ちゃんと守るんやぞ」と言っている。

 その上で、夏までのスケジュール表を配布した。練習試合や遠征、強化練習期間などが明記してある。一人一人が日程から逆算して行動して欲しいからだ。

 毎月の「散髪完了日」も設定した。うちは頭髪は自由だが、帽子が似合う高校生らしい頭髪スタイルを推奨している。その日までに身なりも整え、新しい段階に挑んでいくという区切り、決意の日という意味だ。

 私が監督になってから、間もなく丸3年になる。これまで3学年の先輩たちのおかげで、昨年は甲子園に春夏連続出場という結果と素晴らしい経験を得ることができた。今からは第2ステップだと思っている。

 3月に卒業する学年は、スポーツ推薦で入学した生徒はゼロだった。例えば4番エースの松永陽登(はると)(18)=筑波大進学=は中学時代、チームのエースではなかった。キャッチボールから始める中で、体の使い方、バランスの良さを感じた子だ。

 様々な仕掛けをした。甲子園…

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