「男性にも読んでもらわなくちゃ」が結実 93歳名誉教授の文庫

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山本奈朱香
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 米ハーバード大学や英ロンドン大学には、フェミニズムの視点で集めた資料を所蔵する図書館がある。それらを参考に作られたのが、昨年11月に開設5周年を迎えた「名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリ(GRL)」だ。きっかけとなったのは、ある研究者の蔵書だった。

 GRLの一角にある「水田珠枝文庫」。名古屋経済大学の名誉教授、水田珠枝さん(93)が寄贈した約7600冊が並ぶ。先駆的なフェミニスト、メアリ・ウルストンクラフトの「女性の権利の擁護」(1793年)もある。

 水田さんは津田塾専門学校(現・津田塾大)を出た後に名古屋大法学部で政治思想史を学んだ。学説のほとんどが「男性による男性のための業績」だと感じ、「どうすれば女性が主体の歴史を描けるのか」を課題として研究を続けてきた。

留学時代、近所の人に驚かれた

 法学部時代、女性は学年に数人だった。研究者になってからも圧倒的な男性社会。男性の教授が「女子学生はなるべく採らないで、男子学生を採る。そのほうが大学にも企業にも有利だから」と話すのを聞いたこともある。「またうるさい人がしゃべっていると思われるかも」と思いながら、異を唱えてきた。

 海外の書籍も入手しやすくな…

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