イラン、ヒジャブ取り締まり強化へ 緩和の動き一転、背景に強硬派か

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テヘラン=飯島健太
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 女性が髪を隠す布「ヒジャブ(ヘジャブ)」をめぐる抗議デモが4カ月以上続くイランで、捜査当局が着用に対する取り締まり強化を打ち出した。着用義務への反発を受け、体制内では緩和策を模索する動きもあったが、政府批判は一向におさまらず、ここで妥協すれば、体制の基盤そのものが揺らぐ恐れがあると判断したとみられる。

 イラン学生通信によると、検察幹部は10日、警察当局に対し、ヒジャブをきちんと着けていない女性の取り締まりを徹底するよう新たに指示した。検察側はヒジャブの「不適切」着用を「犯罪」と断じ、禁錮刑や罰金、社会奉仕活動、国外渡航の禁止、公務員の場合は免職など罰則の適用を厳格化したという。

 また、交通違反を捜査する監視カメラによるヒジャブ着用の取り締まりが始まったほか、タクシーやレストラン、銀行がヒジャブ未着用の女性客を受け入れた際には罰金を科される恐れがあると報じられた。

 イランでは昨年9月、22歳の女性がヒジャブの「不適切」着用を理由に逮捕された後、急死した。その後広がったデモでは、ヒジャブ着用の適否を専門に取り締まる「風紀警察」の廃止を求める声が噴出。街ではヒジャブをかぶらない女性が増え、風紀警察の姿が消えた。

 イラン政府関係者らによると、体制内では着用義務の緩和を促す声も出ていた。昨年12月にはモンタゼリ検事総長が風紀警察が廃止されたと言及。最高指導者ハメネイ師は1月4日、「ヒジャブを完璧に着けていない女性でも反宗教的とは見なされない」と述べた。

 こうした言動の背景には、国民の怒りを封じ込める狙いがあったとされる。

 だが、そうした思惑に反し、国内の不満の声は高まり続けた。また、デモ参加者への武力による鎮圧や死刑執行といった強硬な姿勢に対し、国連や米欧は再三、イランを非難する声明を出した。米欧はイランの治安部隊の高官らに対する制裁を相次ぎ発動している。

警察トップの交代、デモ鎮圧への契機か

 こうした中、ハメネイ師は7…

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