山口「ダブル衆院補選」準備が本格化へ 岸信夫氏が辞職意向

安倍元首相なき後 激動の山口

川本裕司 前田健汰
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 自民党岸信夫防衛相(63)=衆院山口2区=が2月上旬にも議員辞職する意向を固め、実兄の安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区とともに、4月に「ダブル補選」が行われる見通しだ。岸氏は長男で防衛相秘書官を務めた信千世氏(31)を後継としたい考えで、後援会は2月上旬にも態勢を整える。これに対し、野党の候補者擁立は4区補選と同様、難航しそうだ。

 岸氏の後援会連合会の柏原伸二会長は19日、朝日新聞の取材に、2月上旬にも後援会の選対会議を開き、2区補選に向けた態勢を整える考えを明らかにした。

 柏原氏は、岸氏の議員辞職の意向について「周辺から聞いていたので驚きはない。病気のなか防衛相として頑張ってきた」とねぎらった。岸氏は次期衆院選に立候補しない意向を示した昨年12月の後援会の会合の当日、「今の体調ならもう少しできるが、悪くなったら早く辞めるかもしれない」と話していたという。

 信千世氏に対しては今月5日、柏原氏が「いつ選挙があってもいいように」と伝えると、信千世氏は「覚悟はできています」と答えたという。

 岸氏が3月15日までに辞職すれば、公職選挙法に基づき、2区補選は4区補選と同じ4月23日に実施される見通しだ。自民党県連は4区補選と同様、公認候補を公募する方向だが、県連関係者は「やる前から信千世氏に決まっているようなものだ」と話す。

 一方、県連は19日、4区補選の公認候補を選ぶ公募を締めきった。複数の応募があったが、安倍氏の後援会が推す下関市議の吉田真次氏(38)が有力視されている。

 衆院の区割りを見直す法律が昨年12月に施行され、次の総選挙から県内の小選挙区は現行の4から3に減る。県連関係者は「自民党には現職優先の方針がある。区割り見直しで議席が減るなか、信千世氏に地盤を譲れなくなるのを恐れたのではないか」と岸氏の胸中を推し量る。

 これに対し、立憲民主党県連の酒本哲也幹事長は「本人の辞職の意向に対して言うことはないが、(息子への)世襲をしようとしているのは好ましくない。選挙区は議員のものではない」と批判する。

 ただ、同党は補選が県議選の時期と近いことなどから、4区補選と同様、独自候補の擁立が「本当に厳しい状態」なのが現状だ。

 一方、同党や共産党などと協力して4区補選の候補者選定を行ってきた市民団体「市民連合@やまぐち」の内山新吾共同代表は「市民連合が中心となって、対象を広げて候補を探していきたい」と話した。(川本裕司、前田健汰)

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