「見て見ぬふりは大きな罪」 映画「ファミリア」を手がけた成島監督

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山本奈朱香 高絢実
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 多様な家族をテーマに映画を撮ってきた成島出監督の最新作「ファミリア」が、6日から公開される。演技経験がない日系ブラジル人をキャスティングし、生い立ちを役柄に反映させた。作品について、成島さんと脚本家いながききよたかさんに語ってもらった。

成島監督 「きみたちの物語にするからね」

 日本語とポルトガル語を話せる俳優がいないということもあり、日系ブラジル人をキャスティングしました。緊張していたから「大丈夫だよ、きみたちの物語にするからね」と生い立ちなどを聞き、彼らの人生に合うようにシナリオを修正していったんです。

 彼らはポルトガル語で育ち、小学校に入ったらいきなり日本語教育。ついていけず、いじめも受けた。ブラジル国籍だけど祖国を見たことがない。映画の中で「日本人にもなれない、ブラジル人でもない」と叫ぶのは、本当のことなんです。

映画「ファミリア」

主人公の陶器職人・誠治(役所広司)と海外で活躍する息子の学(吉沢亮)が、ブラジル人青年のマルコス(サガエルカス)を助けることで交流が始まる。マルコスは幼いころに家族と来日したが、リーマン・ショックで解雇された父が自殺していた。学は会社を辞めて陶器職人を継ぎたいと話していた矢先に、悲劇が起きる。実際に起こった事件などをヒントにしたオリジナル脚本を映画化した。国籍や育った環境が異なる人たちが出会い、大切な関係を築いていく物語。配給はキノフィルムズ。

 ラップグループのメンバーが「音楽でビッグになって、ここ(団地)抜け出すのが、おれたちの夢なんです」と話すのも、実際に彼の夢。なぜラップかというと、楽器が必要なくて、一番お金がかからない音楽だからです。なるべく彼らの生き方そのものと役がずれないように、役と本人の差がなくなっていくようにつくっていきました。

 日本人の俳優陣も、できるだけ自分の問題としてアプローチできる人にあてがきをしました。

 大事なブラジルからの移民の…

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