20日に開幕したサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会。欧米メディアや人権団体からは、カタールにおける外国人労働者の人権問題や同性愛をめぐる対応に批判が出ていました。カタール側はこうした問題をどうとらえ、どのように対応してきたのでしょうか。湾岸情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所の堀抜(ほりぬき)功二主任研究員に聞きました。
――英紙ガーディアンや国際人権団体は、カタールでのW杯開催が2010年に決まって以降、インドやバングラデシュなど南アジアからの6千人を超える外国人労働者が、スタジアムなど大会関連施設の建設現場で死亡したと指摘しています。
数についてはカタール政府の発表とは大きな食い違いがありますが、相当数の方が亡くなっていることは事実だと思います。
建設現場では、安全管理が徹底されていなかったり、酷暑の中での長時間労働があったりして、犠牲者が多く出たのだろうと思います。また、外国人労働者が住む「労働キャンプ」と呼ばれる宿舎が狭くて劣悪な環境だという指摘もあります。
カタール政府は「国として安全対策の指導をきちんとしており、企業も従っている」といった主張をしていますが、それが2次下請け、3次下請けまで浸透していたかというと、そうではなかった可能性があります。
――批判が強まるなか、カタール政府はどう対応したのでしょうか?
W杯の招致が決まり、国際社…