「ようやく子離れ、親離れ」 医療的ケア児の通学、支援の手増える

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山下剛
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 自宅から学校までは約8キロ。車だと30分もかからない。でも、その30分をどうやって乗り切るかが、家族にとって悩みだった。

 横浜市に住む金野太晴(たいせい)さん(13)は特別支援学校中学部2年。神経が通る背骨のトンネルの形が一部不完全な「二分脊椎(せきつい)症」があり、移動は車いすだ。

横浜の支援校「訪問教育もある」

 生後5カ月で気管切開の手術を受け、24時間人工呼吸器を使っている。1日に150回以上のたんの吸引が必要だ。

 太晴さんのようにたんの吸引や人工呼吸器など、医療的ケアが必要な子どもを「医療的ケア児」という。

 医療的ケア児の場合、保育園に入れなかったり、学校で保護者が付き添ってケアを担うことを求められたりするケースも少なくない。

 とりわけ人工呼吸器の場合は「生命に直結する」という教育委員会の判断で、学校に配置された看護師が扱わない自治体も多い。

 太晴さんが特別支援学校の小学部に入学するとき、学校からは「(教師が自宅を訪れて授業をする)訪問教育という選択もある」と言われた。

 でも、太晴さんは人が大好き。両親は「友だちや先生がいるところで学んでほしい」と通学を希望した。

 その代償は大きかった。

 授業中は保護者が付き添って…

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2022年10月3日11時10分 投稿
    【視点】

    先日、実際に医療ケア児を育てるお母さんのお話しを伺った。昨年「医療的ケア児支援法案」が成立し、この記事にあるようにだいぶ環境改善がされてきたものの、現実的にはまだまだインクルーシブとはほど遠い教育現場や、以前のように働くことのできない親御さ

    …続きを読む