今年80歳になった演出家・俳優の串田和美がライフワークのひとつ「スカパン」を上演する。1994年の初演以来、金持ちや主人をあの手この手でやりこめようとする従僕スカパンを、人生の節目ごとに演じてきた。串田は「スカパンも80歳か。でもまだ隠居はできない。軽快に跳ね回って演じたい」と話す。
原作のモリエール「スカパンの悪だくみ」は17世紀のフランス喜劇だ。串田は俳優座養成所にいた62年、コメディ・フランセーズの来日公演で初観劇した。「せりふを聴かせる古典劇かと思ったら、実に身体的な演技で衝撃を受けた」。同様に感動した養成所仲間の佐藤信とその夜は語り明かしたという。
ただ笑えない感じの喜劇
仲間と旗揚げしたオンシアター自由劇場で「上海バンスキング」(79年)などの名舞台を生んだ串田は、芸術監督を務めていたシアターコクーン(東京・渋谷)で94年に「スカパン」を初演した。「もう一度原点にという思いから、新訳で、みんなと潤色もして。このときは劇団の真那胡敬二君に演出してもらいました」。翌年には仏アビニョン演劇祭でも上演した。
「モリエールの喜劇の根底に…
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