中学校の運動部活動の地域への移行が2023年度から本格的に始まる。プロバスケットボールのBリーグは現在、39都道府県に1~3部の54クラブがあり、2県で新規加入を表明しているクラブがある。地域移行の受け皿となり得るのか、Bリーグの島田慎二チェアマンに現状と将来について聞いた。
「バスケットをやれる環境を絶やさない」
部活動の地域移行
少子化による廃部で子どもの選択肢が減ることや、教員の長時間労働などの課題に対応するため、スポーツ庁の有識者会議は、運動部の地域移行を提言している。民間クラブと連携を進めたり、外部人材を部活動指導員として派遣したりすることを目指す。なかでも、2023~25年度を「改革集中期間」とし、公立中学校の休日の指導を民間クラブなどに託していく。将来的には平日の移行も目指す。
――スポーツ庁の有識者会議の提言を聞いてどう感じましたか。
「もともと地域移行の流れはありましたので、驚きはありません。先生方の働き方改革は急務ですし、指導者として知識のない方にお願いするのは難しい話だと感じていました」
――チェアマンになる前に千葉ジェッツの社長として千葉県内のバスケット事情をよく見ていました。部活動の状況はいかがでしたか。
「長い間、慣習として、先生方が弁当一つ提供されるぐらいで熱心にやってくださっていました。ただ、バスケットの強豪校であればバスケットに熱量がある指導者の方やOBがいますが、問題はその周辺だと思います」
「競技経験がないのに顧問を任されるケースも散見されました。そうした場所で、子どもたちがバスケットをやれる環境を絶やさないようにするにはどうしたらいいのか。そもそも普及があってはじめて育成、強化できると言えます。実際、それほど盛んではないところからも素晴らしい選手が育ったケースも少なくありません」
――Bリーグは、こうしたバスケットの地域移行の受け皿になれるのでしょうか。
「いきなり全部はできないと思います。Bリーグは開幕してまだ7年目で、さほど歴史があるわけではない。ただ、そういうものを担えるようなBリーグでありたいというのはコンセプトとして持っています」
「地域で成り立つ仕組み作りを」
――課題はどんな点でしょうか。
「まず、教員以外に、子ども…
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