英国で国王として最長の70年間在位したエリザベス女王が死去した。直前まで国民と英国への奉仕を続け、国民から慕われた女王。記者が謁見(えっけん)する機会を得たのは2017年11月、大英博物館で開かれた新ギャラリー公開の祝賀式典の場でのことだった。
会場に当時91歳だったエリザベス女王が鮮やかな赤紫でそろえた帽子とオーバーコート姿で現れた。女王はしっかりとした足取りで、アジアからの所蔵品などを見て回った。女王の動線に合わせて、招待客が順々に紹介され、自然な形で握手やあいさつが交わされていった。
大英帝国の栄華の品々が並ぶ王室ゆかりの博物館だが、女王が訪問したのは、17年ぶり。事前に聞いていたのは、女王とのあいさつは腰からの「お辞儀」ではなく、首からうなだれるように曲げること。自分から話しかけることはせず、女王から話しかけられた場合のみ会話を交わすこと。そして握手は手を触れるくらい軽いものでいいということだった。
私の順番が来た。女王は穏や…
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