女性の「価値」、可愛いの「意味」に変化?北京五輪報道を分析すると

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忠鉢信一 金島淑華
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 スポーツには男性中心の価値観があると考えられている。一般に男性の報道が多い傾向がある。また、「かわいい」などの表現は女性アスリートに使われることが多く、女性の価値を低くする表現だと指摘されてきた。

 しかし、2月の北京冬季五輪に関する約1万件の報道を朝日新聞社が分析したところ、過去の研究と違う傾向が出た。

 女子種目・女性アスリートを取り上げた記事は男子・男性より多かった。「可愛い」や「かわいい」を使った記事を調べると、北京五輪東京五輪より頻度が増え、扱った内容で男女に分けると男女差が小さくなっていた。

 ただ、ジェンダー問題の専門家は、男性の価値を高く見るスポーツ報道の傾向が変化したとは言えないと読み解く。

 インターネットメディア「ヤフーニュース」で、北京冬季五輪の開催期間中(2022年2月4~20日)に掲載された北京五輪関連の記事1万6件と、東京五輪の開催期間中(2021年7月23日~8月8日)に掲載された東京五輪関連記事3万1095件を朝日新聞が分析した。

 過去の研究では、日常のスポーツ報道で女性アスリートに関する内容は全体の約1割。五輪では参加選手数やメダル数に影響され、男女ほぼ均等とされている。

 しかし北京五輪では、日本のメダル数(男子9、女子8、混合1)で男女が拮抗(きっ・こう)していたが、女性メダリストの記事が多く、女性を取り上げた記事の数を押し上げた。

 男性のみを取り上げた記事3213件(32%)に対して、女性のみは4074件(41%)。男女ともは2327件(23%)で、女性を取り上げた記事が全体の64%を占めた。女性のメダリストだけが含まれる記事は3496件で、男性のメダリストだけが含まれる記事(2980件)より明らかに多かった。

 昨夏の東京五輪の場合、日本のメダル数(男子25、女子30、混合3)は女子が多かったにもかかわらず、男性の記事が1万3120件(42%)、女性が8786件(28%)で、男女ともの5200件(17%)を含め女性を取り上げた記事は45%と半分に満たなかった。サッカー、野球など男性のプロの関連記事が多く、男性の記事の割合を増やした。

 北京五輪では、記事が取り上げた選手や種目の男女別による内容の違いもあった。

 北京五輪で男性は「後天的な…

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