YOASOBIはなぜ売れた? 2人が明かすヒットの作り方(前編)

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定塚遼
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 小説を原作にして楽曲作りをするユニット・YOASOBIが、直木賞作家4人とコラボして、それぞれの作家が原作を手がけた楽曲を順次リリースします。日本で初めてインターネットのストリーミング再生が7億回を突破した「夜に駆ける」をはじめ、「群青」「怪物」「大正浪漫」など次々とヒット作を生み出すYOASOBIの2人に、ヒット曲の作り方や、YOASOBIの成功によって変化したこと、抱えた葛藤などを率直に語ってもらいました。

 一問一答形式で前・後編に分け、ロングインタビューをお届けします。

 ――Ayaseさんの曲作りの手順についてお伺いします。映像を思い浮かべて作ると聞きました

 Ayase そうですね。まずイメージを映像で頭の中に浮かべる。その中からメロディーが降りてくることが先の場合もあるし、リズムが先に浮かぶこともある。大まかなざっくりとした楽曲の雰囲気ができて、そこから作っていきます。

 ――歌詞はどの段階で入れるんですか

 Ayase 歌詞はメロディーと曲の構成が決まった後で、最後のほうです。完成してから歌詞を入れてバランスを見ながらアレンジを進めていくのが基本です。

 ――小説に直接書かれていないご自身のフレーズを使うことがかなり多いですよね

 Ayase ほとんど自分の言葉に置き換えています。どうしても小説の言葉をそのまま引用したいぐらいのパワーワードだったり、歌詞に必要だったりするものは、そのまま抽出します。

 やはり小説の文字数は歌詞よりも圧倒的に多いですし、その全てをただ説明的に連ねるだけではうまくいかない。音へのはまり方はもちろんそうですし、それに合わせて母音なども考えていかないといけない。やはりあくまで詩ではなく歌詞で、音として聞くものなので、音との関係はちゃんと大事にしていく。その上で、基本的にはポジティブな意味でカットする作業っていうのが必要になる。

 例えば……、ほんとに例えばですけど、ガラス玉を割って、そこに映った海、みたいなことが書いてあったとして、歌詞で表現するときは、「海」で十分で、「ガラス玉を割ってそこに映った」という表現は音で表すことができる。それはやっぱり音楽の強みでもあるし、逆にそこまで言葉で説明できるのは小説の強みでもあります。

 ――改めて音楽と文学の親和性についてはどのように思われますか

YOASOBIロングインタビューの一問一答前編です。音楽と文学にどの程度の親和性があるのかについてAyaseが語ります。また、ときに「人間が歌うことを想定していない」とすら評されるYOASOBIの起伏の激しい楽曲を、小説の登場人物に合わせて歌声を変化させながら歌いこなしてみせるikuraのボーカルの秘密や、初ライブの裏側にあった苦労などについてたっぷり語っています。

文学を音楽に変換 文章で想起する「色」が手がかり

 Ayase もう完全に、こ…

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