家事労働を可視化するソファが優勝 自由度が↓ならソファーも↓

伊丹和弘
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 大学生らがチームを組み、与えられたテーマから広げたアイデアを、プレゼンテーションして競うブランドデザインコンテスト「BranCo!(ブランコ)」(朝日新聞社後援)の決勝戦が11日あった。共働き女性の家庭内での自由度が大きさで分かるソファを提案したチームが優勝した。

 大会は10回目。全国154大学1高専から809人(201チーム)が参加。大学横断で組んだチームも多い。昨年10月の説明会でスタートし、11月に書類審査で120チーム、5分間のプレゼン動画で行う12月の1次審査で36チームに絞られた。各チームは博報堂の社員から直接アドバイスを受けるなど、アイデアを磨き上げ、11日午前のオンラインプレゼンの2次審査に臨んだ。

 今回のテーマの「自由」から発展させた商品やサービスのアイデアを競った。実際に商品化されるかどうかは問わない。同日午後に行われた決勝は6チームで争われ、「思ったことを言えることが自由。それができているのはギャル」としたチームは、彼女たちの「失敗もポジティブに捉え、次々とチャレンジする」特性に注目。そこから「仕事の失敗を記念するプリントシール機」を考案した。シールを壁に貼り、失敗からの学びを共有。さらに、仕事仲間には会社からコーヒーが振る舞われるというアイデアだ。「何度も選択できることが自由」と定義したチームは「道具など買う金銭的な負担が新たな趣味の選択を妨げている」とし「道具などをその趣味を広めたい人からの寄付で集める仕組み」を考えた。寄付すると同時にアドバイスもし、実際にグループ内で釣りが趣味の人が釣りざおを別のメンバーに寄付し、釣り方なども指導すると、釣りを苦手だったと思っていたメンバーが釣り好きになったという。

 優勝したのは法政大学のチーム「いちごコンクリート」。共働きでも女性の負担になりがちな家事労働の時間をスリッパのセンサーで計り、「ママ(共働き女性)の自由度」を判定し、自由度が高いと空気で膨らんで大きくなり、低いと小さくなるソファ「FREEMA立方メートル(フリーマム)」を提案した。妻の負担を可視化することで、自然と夫が家事を分担するようになるのが狙いだ。「自由を表す単位」を尋ねたアンケートでリットルなど体積の単位を挙げる人が多かったことをきっかけに、自由度を体積(大きさ)で表現する商品につなげたアイデアが審査員から高く評価された。

 榊原颯さん、藤井亮輔さん、藤浦さくらさん、眞砂野湧さんの4人の同級生と大会に挑んだリーダーの久保綾乃さんは「昨年はわずかの差で2次予選敗退。同じメンバーで優勝できてうれしい。深く議論することで相手への理解も深まり、自分の成長にもつながった」と話した。

 イベントは東大教養学部と博報堂ブランド・イノベーションデザインの共催で2012年度に始まった。例年、東大駒場キャンパスで開催してきたが、コロナ禍で昨年に引き続き、オンライン実施に。同学部特任教授で同社の宮澤正憲代表は「オンラインだと地方大学など遠方の人も多数参加できる。一方で新たな人と人の『絆』を増やせるのは実際に会うオフライン。両者の利点を生かした大会にしていきたい」と話した。(伊丹和弘)

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