第2回第一段階は突破したのに 中傷コメントの投稿者、特定までの高い壁
58件のうち、何分の一かしか可能性がない――。
東京都内の弁護士が2020年以降、ある男性の代理人として進める発信者の情報開示請求で、東京地裁がツイッター社に開示を命じる仮処分決定を出したうち、ネットのプロバイダー(接続事業者)が、発信者の特定可能性を示した割合だ。
この男性はネットの世界で、ある事件の「加害者」に仕立てられた。SNSなどで突き上げられ、本人は被害者と面識もなかったというが、ネットで実名や顔写真などもさらされた。嫌がらせの電話などもかかってきて、生活に支障をきたすようになったという。
困り果てた男性は弁護士に相談。弁護士はツイッターの書き込み60件について、ツイッター社にIPアドレス(ネット上の住所)の開示を求めて東京地裁に仮処分申請した。その結果、58件の名誉感情侵害などが認められた。
SNS上の誹謗中傷――。それが「書き込んだ人の問題」であることは疑いがありません。しかし、ネット上の仕組みや法制度、企業のあり方も、被害の回復をより難しくしています。被害者をさらに追い詰めるものは何か。その構造を追いました。記事の最後では、記者によるポッドキャストでの解説もお聞きいただけます。
「いただいた情報では特定に至らなかった」
地裁の決定に従って同社が開…
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- 【解説】
ツイッターで行われた匿名の誹謗中傷の特定や訴訟がなぜ難しいのか、かなり突っ込んで現場を取材された記事です。 記事のポイントは2つあります。1つはツイッター社から投稿者のIPアドレスが開示され、そのIPアドレスを元にドコモやKDDI、ソ
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