メディア空間考 原田朱美
先日、都内の中学校で出前授業をした。授業後の交流会で、みんなの悩みを聞いていたら、中3の女子生徒が、こう切り出した。
「進路指導で、大学で専攻したい学部名を提出したんですけど、私がなりたい職業はその学部に関係ないんです。一貫していないんです」。
良くないことだけれど、という告白感があった。中3で大学の専攻と職業選択を求められる状況にまず同情するが、「一貫性がない」が悩みであることに驚いた。まだまだ世界が広がる途上の年齢で、いろんなことに興味をもつこと、それが絞れないことは、悪いことだろうか。
中学生から大学生にかけて、好きなことにまつわる悩みは本当によく聞く。そのひとつが「夢に向かって一直線に頑張れない」だ。2年前は別の中学生から「看護師が夢だけれど、他にも楽しい職業があるかもと迷ってしまう」と、自責のような相談を受けた。「夢=ひとつの職業」をいち早く思い定めることが「正しい姿」と教え込むのは、誰だろう。
メディアは繰り返し、「夢に…
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- 【視点】
■「ドリームハラスメント」を粉砕せよ! 学生、労働者、市民諸君!この原田朱美による論考は、この猖獗した時代、乾ききった時代に注ぐ恵みの雨である。音読し、重要だと感じた点には下線を引き、その思想を我がものとせよ!以前、連載でお世話になった
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