与えずに与えられるイタリアの白いハト 見えずに消えるふるさと納税
日曜に想う 郷富佐子論説委員
年末が近づくと、なぜか「人の役に立ちたい」という気持ちが強くなる。コロナ禍でボランティアが無理なら、せめてささやかな寄付で1年を締めくくりたいと思う。それが自己満足であっても。
イタリアの財団と大学が出した「税金と寄付」に関する調査報告書を読んでいたら、「連帯の精神はコロナウイルスより伝染力が強い。市民や団体、企業の寄付が記録的に増えた」とあった。
報告書は、古いおとぎ話で始まる。
〈昔々あるところに、貧しくも非常に賢い農家の娘がいた。評判を聞いた王様が、娘にこんな難問を出した。
「私に贈り物を持って来なさい。でも、持って来てはいけない。それは包まれているが、包まれていない。私に渡すけれど、渡してはいけない」
娘は白いハトを捕まえ、鳥かごに入れて、幼い妹に王様のもとへ運ばせた。王様がかごの扉を開けると、ハトは飛んで逃げてしまった。王様は感心し、娘とめでたく結ばれましたとさ〉
正直、最初は「そんな簡単な答えでいいのか」と思った。だが、研究者が添えたコメントを読んで、はっとした。
「これは、税金の一部を慈善…
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