配備難航のオスプレイ、赤字確実の五輪・パラ…埋もれた争点の現場は

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吉江宣幸 成沢解語 野村周平 斉藤佑介
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 31日投開票の衆院選で、各党がコロナ対応の給付金や経済対策への訴えを重視する中、埋もれてしまった争点はないか。陸上自衛隊オスプレイの配備計画で負担を求められた自治体や、東京五輪パラリンピックの開催地で、オスプレイや五輪はどう語られているのか、現場を歩いた。

 全国有数のノリ産地の有明海。漁場を望む佐賀空港(佐賀市)に持ち上がった陸上自衛隊のオスプレイ配備計画は、実現に向けた道筋が見えないままだ。

 佐賀県は2014年に防衛省からの要請を受け、18年に計100億円の着陸料を受け取ることで合意し、受け入れを表明した。だが、県と地元漁協が結んだ協定の付属資料には「空港を自衛隊と共用しない」とあり、漁協は改定に慎重だ。空港隣に造設予定の陸自駐屯地も地権者の多くが漁師で反対の声が根強い。

反対するノリ漁師 住民の関心は高まらず

 同市のノリ漁師、藤川和弥さん(54)もその一人。駐屯地予定地に父親名義の土地もあるが、売るつもりはない。「駐屯地の排水でノリが傷むのでは」。そう思うと18歳の長男にも関わる問題だ。

 佐賀市を含む佐賀1区は自民前職の岩田和親氏と立憲前職の原口一博氏の一騎打ち。安倍政権で防衛政務官を務めた岩田氏は配備を進める立場だ。第一声では「皆さんの心配や不満を受け止める責任もある。厳しい声を含めて私にぶつけて」と語った。一方、原口氏は配備に反対の立場だ。選挙戦で配備反対を訴え、「安全保障上、全く必要ない。協定にも反している」と主張する。ただ、藤川さんは、住民の関心が高まっているとは思えない。「ピンと来ないのだろう。身近な問題になって初めて関心がわく」

 佐賀空港への配備が進まない状況を受け、防衛省は昨年7月から陸自木更津駐屯地(千葉県木更津市)にオスプレイの暫定配備を始めた。配備予定の17機のうち、すでに7機が到着した。市と防衛省が合意した暫定期間は「5年以内」。1機目が到着した昨年7月から起算して、約3年8カ月後には期限を迎える。

 木更津市を含む千葉12区は…

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    野村周平
    (朝日新聞スポーツ部記者=スポーツ行政)
    2021年10月29日12時47分 投稿
    【視点】

    大会前にオリパラ開催の是非を巡って様々な議論が交わされたことには意味がありました。閉幕で議論が途絶えてしまうのはもったいないと思います。 橋本さんが言う通り、「これからが始まり」のはず。 費用分担の話はもちろん、自治体などが管理する競技

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