いま振り返る浅田真央と3A 佐藤信夫さんと追求した「生涯の夢」(2014年)

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聞き手・後藤太輔

 ソチ五輪が終わった2014年4月、浅田真央さんと二人三脚で歩んできたコーチの佐藤信夫さんにインタビューをしました。「勝つことを考えれば、回避する手もあったのではないですか」。そう質問すると佐藤コーチは「ソチではやるつもりでした」と即答します。語ってくれた浅田選手の挑戦やフィギュア界の未来を振り返ります。(年齢や肩書、写真はいずれも当時)

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 フィギュアスケートの浅田真央選手が集大成とするシーズンが3月末の世界選手権で終わった。ソチ五輪ではメダルを逃したものの、フリーの完璧な演技は世界を感動させた。浅田選手の挑戦にどんな意味があったのか、フィギュア界の未来は。練習拠点の中京大学を訪れ、この4年、二人三脚で歩んできたコーチの佐藤信夫さんに聞いた。

 ――ソチのフリーの演技はいまだに印象深いです。それだけにショートプログラム(SP)でなぜ16位に沈んだのか、疑問が消えません。

 「あれほど崩れるとは私も想像していませんでした。報道などでかなり期待され重圧もあったのかなと」

 ――日本スケート連盟が準備した本番前の練習拠点のアルメニアのリンクに砂が混じっていて、エッジが摩耗してしまったみたいですね。SP当日、佐藤さんが研いで調整したと聞きました。感覚が変わるので、演技当日は避けるはずですが。

 「朝の練習後にエッジが少し傷ついていたのが分かり、私が研ぎました。あまり変化を起こさぬよう軽くやりました。フリーの日もちょっと。練習リンクは特別よかったわけではなかったのですが、皆さんの努力のおかげでちゃんと練習させてもらいました。SPの結果はエッジの影響ではないでしょう。やはりのみ込まれてしまったのでしょう」

 ――あれだけのキャリアがある選手なのに、という気もしますが。

 「記録で優劣を競う競技だと、試合で興奮状態になり、練習以上の爆発力を出して新記録をつくったなら成功です。でも、我々の競技はそれでは失敗です。普段より力が出てジャンプの滞空時間が変わると、回転オーバーする。力の出し具合が普段と変われば、いつもより速いスピードになったり、遅いスピードになったりして、狂いのきっかけになる。それほど微妙な競技なんです」

 ――練習でやったことをどう試合で再現させるのでしょうか。

 「練習で試合と同じ経験をす…

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