照ノ富士が新横綱Vに王手 追いかけるベテラン妙義龍、34歳の心境

小俣勇貴
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 大相撲秋場所(東京・国技館)は14日目の25日、首位の照ノ富士を1差で追う平幕の妙義龍が正代を破り、2日続けて大関を倒した。

 妙義龍は、どこまでも自然体だ。

 同じ3敗勢だった遠藤、阿武咲が敗れて迎えた土俵。自身が負ければ、2敗の照ノ富士の優勝が決まってしまうかもしれない状況にも、「特に心境の変化はなかったっすね」。ここで会心の相撲を見せる。

 正代との立ち合い。低くぶつかり、前まわしをつかんだ。腰高の大関を、さらに持ち上げるようにして一気に押す。切れ味抜群の寄り切りで、自己最多に並ぶ11勝目を7年ぶりに手にした。

 「考えすぎていたら、きょうの相撲はとれない。自分のやってきたことを信じてやるだけでした」。連日の大関撃破で優勝争いを千秋楽まで持ち込んでも、34歳の感情は波立たなかった。

 初土俵から12年。埼玉栄高で同学年だった豪栄道(現武隈親方)ら同世代の力士が引退していくなか、土俵に立ち続けている。自身最高位は関脇。今は前頭10枚目だが、「こうしてケガなくやれていることに感謝したい」。謙虚に語るベテランが、「(場所前は)全く予想していなかった」という優勝争いにしっかり絡んでいる。

 結びで照ノ富士が2敗を守り、1差のまま千秋楽へ。直接対決は組まれなかった。ここまで3戦全敗と相性の良くない関脇明生を破り、結びで照ノ富士が正代に敗れなければ、初優勝への道は開かれない。「明日のことは明日考えます」と妙義龍。無欲のまま、楽日に臨む。(小俣勇貴)

照ノ富士、新横綱Vに王手

 突き放そうとする貴景勝を落ち着いて捕まえた。照ノ富士が左上手を取ったところで、勝負はほぼ決していた。上手投げで振り回すと、いったんはこらえた大関を豪快に投げ捨てた。

 「照ノ富士は慌てなかった。上手は強引に取ったけど、上手を取ってからは強引に出なかった」と八角理事長(元横綱北勝海)は取り口を評価。新横綱はこの日も取材に応じず、国技館をあとにした。

 1差リードで迎える楽日は断然有利な立場。5度目の賜杯(しはい)に向け、ただ目の前の一番に集中すればいい。

 ●貴景勝 横綱に一矢報いることはできず。「差したんで、負けでした。また明日あるので一生懸命頑張ります」と淡々。

 ●正代 優勝争いを繰り広げるベテランとの一番。「(妙義龍は)今場所、すごく元気の良い方。ちょっとそれにのまれたのかな……」

 ●阿武咲 優勝争いから脱落する4敗目。相手の立ち合い変化に屈し、「頭には完全に無かった。自分が本当に強かったら残っていると思うし、まだまだ力が足りないということ」。

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