ちりに隠されて普通の光では見えない銀河を131億光年かなたに発見したと、国立天文台などが23日、英科学誌ネイチャーに発表した。南米チリのアルマ電波望遠鏡で観測中にたまたま見つかったもので、研究者もこんな銀河があるとは想定外だったという。

 発表では、くじら座にある銀河を観測していたところ、ハッブル宇宙望遠鏡が可視光で撮影しても何も見えない領域から電波が出ていることに気付いた。星が寿命を終えて爆発するなどし、ばらまかれた大量のちりが銀河を覆って光を遮ったとみられる。一方、赤外線はちりを通り抜けることができ、131億年の間に波長が伸びて電波として観測されたらしい。

 ちりの向こうの銀河は、宇宙初期の一般的な銀河と質量などに変わりはなかった。ただ、この時代には若い星しかなかったはずなのに、なぜ銀河を覆うほど大量のちりがまき散らされることになったのかは謎だという。アルマプロジェクトの札本佳伸・特任研究員は「予想外の発見で驚いた。このような隠れた銀河が氷山の一角なのか、今後の課題だ」と話した。

 論文は以下のサイト(https://doi.org/10.1038/s41586-021-03846-z別ウインドウで開きます)で読める。(小川詩織